猫のいるフリーランス暮らし

猫のこと、自分の好きなものの生活の記録をつけています。

仲宗根梨乃さんのファンがPRODUCE101 for Girlsを見た話

※注 超長いです
PRODUCE101 for Girls、毎週楽しく拝見しています。
日本の101シリーズをしっかり見るのは初めてなので、ものすごく新鮮な気持と甲子園を見ているようなピュアな感情をとても楽しんでいます。

PRODUCE101のシーズン1から、仲宗根梨乃さんが審査員として出演されていることは知っていてとても好感を持っていたのですが、今回初のガールズグループのオーディション番組を仲宗根梨乃さんが審査するということで、とても楽しみにしていました。

今回のブログは私が2009年に仲宗根梨乃さんを知って当時からのファンとして仲宗根梨乃さんのキャリアを追ってきた歴史と、PRODUCE101の審査員としての仲宗根梨乃さんを見てどう思ったのか、古参ファンのちょっと重めな文章で申し訳ないですが、語らせて頂きたいと思います。

私が仲宗根梨乃さんを知った時代とAmerica's Best Dance Crewについて

私が仲宗根梨乃さんのファンになったのは、2009年か2010年ごろ、友人がCSのMTVで放送されていた「America's Best Dance Crew」のシーズン3を見せてくれたことがきっかけでした。

America's Best Dance CrewはアメリカのMTVのオーディション番組で、ダンスのチーム(クルー)同士が決まったテーマのパフォーマンスを毎週披露し、視聴者投票でサバイブして勝ち抜いていき、最下位となった2チームが審査員評価で脱落(エリミネーション)が決まるという今の言い方で言うと「ダンサーチームのサバイバル番組」です。

MTV自体が若者のカルチャーとして求心力があり、番組自体もとても人気があり8シーズンまで制作されていましたが、毎週新しいコレオ(振付)を作るダンサーへの負担も大きかったためか、現在は新しいシーズンは製作されておらず放映されていません。

私がこの番組で仲宗根梨乃さんを好きになったのは、仲宗根梨乃さんが所属する「BeatFreaks」のパフォーマンスがとても好きで、中でもエピソード3の「ブリトニースピアーズチャレンジ」という課題でやった「Womanizer」という曲のソロパートがとても印象的だったからでした。

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America's Best Dance Crewの放送当時は、女性だけのクルーが高い評価を受けることが少なく、「女性しかいないチームなのに頑張っている」という評価や見方をされることが多く、男性ダンサーのパワフルでスマートな魅力がどうしても高く評価されがちでした。これはアメリカでは強者を好む文化が強いためもあったと思います。
が、シーズン3のBeatFreaksの登場でそのセオリーは一変します。

BeatFreaksのパフォーマンスは「男性ダンサーに負けないパワフルさを持っていながら、洗練された振付と構成、人を惹きつける演出ができるダンサーチーム」と私は感じました。レッスン映像で垣間見るチームワークの良さも魅力の一つでした。

BeatFreaksの良さを語りだしたら止まらなくなってしまうので今はこの程度にとどめておきます…

America's Best Dance Crewを見た後、BeatFreaksのツアーに行きたくて、でも北米圏以外でツアーはしてないようだったので、当時上京したてでアルバイト一人暮らしの私には手が届かず、とてもやきもきしたのを覚えています。

なので私は「仲宗根梨乃」と言えばジャネットジャクソンのバックダンサーやブリトニースピアーズのワールドツアーメンバーとして、アメリカで大活躍したダンサーというイメージがファーストインプレッションとしてあります。

その後2010年ごろ、私はKPOPと出会い、KARAや少女時代といったいわゆる第二世代のグループにハマっていくのですが、そこでまた少女時代の振付を手掛ける仲宗根梨乃さんの振付と再会することになります。

私がKPOPにハマった理由のひとつとして、仲宗根梨乃さんのようなアメリカで活躍しているダンサーをいち早くキャッチアップして、エンタメに落とし込んでいく「感度の高さ」に共感したという側面もありました。

なので、今KPOPから仲宗根梨乃さんを知り、KPOPのすごい振付師だと多くの日本の若い方が仲宗根梨乃さんを認知している現状を知ると、当時英語のサイトで情報を追っていた自分に教えてあげたいくらいびっくりする世界線に来たなあと感じています。

仲宗根梨乃が英語で喋る理由

PRODUCE101について語っているSNSを拝見すると、「なぜ仲宗根梨乃は英語で喋るのか?」という疑問を多く見かけました。

私の中では仲宗根梨乃さんはマイケルジャクソンに憧れ渡米し、「アメリカでキャリアを積み成功した日本出身のアメリカのダンサー」という存在なので当然のように感じていたけれど、今の日本では「KPOPダンスの生みの親」「有名なKPOPダンスの振付師」という扱いで紹介されることが多いので、アメリカでの実績がサラッとプロフィールに書かれる程度で、仲宗根梨乃アメリカのカルチャー」の距離感が見えづらくなっている気がします

なので、「なぜ日本人で韓国でキャリアを積んだのに英語で話すのか?」という誤解や疑問が生まれやすいのかなと思います。

彼女が高校卒業し単身渡米したのが98年の19歳、MTVのオーディション番組「America's Best Dance Crew」に出演したのが09年の30歳、その後もLAを拠点にBeatFreaksというチームで活動しており、日本や韓国での仕事が増えてきた後も基本の拠点はLAとしています。

つまり、19歳から30歳前後の彼女のキャリアはすべて英語圏で培われ、ダンスをするために必要なコミュニケーションやクリエイティブな自己主張はすべて日本語圏ではなく英語圏で身に付けたものなのだと推測されます。

そして現在もLAを拠点としているので、仲宗根梨乃さんがパフォーマンスについてコミュニケーションする際に英語が出てくるのは、彼女のダンサーとしてのキャリアのベースがアメリカにあるからと考えると自然なのではないでしょうか。

 

グローバルで活躍→KPOPを経由し日本のエンタメシーンへ

仲宗根梨乃さんが韓国のSMエンタから振付を依頼されたのはおそらくこのアメリカでの実績を買われてオファーが来たのではと思われます。

当時SMエンタは仲宗根梨乃だけでなく、グローバルに活躍している振付師を採用する傾向があり、仲宗根梨乃さんはアジア系かつ、SMエンタのグループのヒット曲も手掛けたこともあり、長く濃くSMエンタで振付を担うことになっていましたが、誤解されやすいのが彼女が日本人であるため「日本人ダンサーがキャリアのためにKPOPで活躍」という構図でとられることが多く、本来は「アメリカで活躍しているダンサーをKPOP業界がスカウト」という図式が近いと思います。

↓当時の振付師のデータがとてもまとまっていたので参考にさせていただきました

【SME】SMエンタのコレオグラファーまとめ (2008-2013) | aristo penguin

 

仲宗根梨乃さんのキャリアの特徴的な点として、
2009年に彼女がMTVの番組でファイナリストとして有名になり、
アメリカで大きなキャリアを築いても、それをいち早くキャッチしたのは日本ではなく韓国だったということがひとつ特徴的な点だと思います。

2009年前後に韓国で彼女が振付したアイドルの曲の発表年は以下の通りで、
2008年 SHINee「Replay」
2009年 少女時代「Genie」
2009年 f(x)「chu~❤」

日本で振付したアイドルで当時有名なのはAKB48だと思いますが、
2012年 AKB48ギンガムチェック


となっており、
AKB48の振付は少女時代の日本デビュー後の実績を見てのオファーであったと思われます。

この点については、日本人ダンサーがグローバルに活躍しても日本ですぐに評価されにくく、アイドルの振付師というわかりやすい肩書がないとキャリアを日本だけで伸ばしにくい現状があるのかもしれません。

2010年前後では、MTVの番組や、たまに来日して出演されていたミュージカル公演、アイドルの振付師としての仲宗根梨乃さんしか国内では見ることができなかったのです。

現在はNCTのコンサートの総合演出などもされていると聞いているので、NCTのファンからの認知もとても高いと聞きます。

そしてPRODUCE101という番組の存在は彼女の人となりをより生々しく知ることができて、ファンとしてはとても有難く感じています。

海外のエンタメ業界で人間性を失わずサバイブしてきた力

私が仲宗根梨乃さんを好きな理由は、彼女が海外でとても多くの実績を残してきたパフォーマーでありながら、彼女の天真爛漫で奔放だけど情熱的で本質を見抜いてくる感性や人間性を誰もが好きにならずにいられない、とてもピュアな人となりを維持したままエンタメ業界の中で生き抜いてきた強さと感性の鋭さです。

PRODUCE101という番組の中で、審査員仲宗根梨乃はテクニカルなことを評することもありますが、それより「何のためにこの場所でパフォーマンスするのか」「何を伝えたくて表現をするのか」「オーディションを勝ち抜くために自分を信じ切らないと」と言ったコーチング的な指導をするシーンが多く特徴的です。

実際に彼女自身も、98年に渡米してからずっと、強者を好むアメリカのカルチャーの中で、無数のダンサーの中から「ジャッジ」され続け生き残ってきたサバイバーだったからこそ、どういうマインドでエンタメと向き合うか練習生に問い続けるその姿勢に説得力があるのだと思います。

今は審査員として指導する側の彼女自身も、以前はリアリティ番組「America's Best Dance Crew」の1挑戦者として、厳しい競争をテレビカメラの前で経験してきたチャレンジャーでもある、と言うのが長くファンであった私にとってアツいポイントであり、PRODUCE101の仲宗根梨乃を見れて良かったと感じる理由です。

彼女が練習生に放つ言葉は、単身で渡米した彼女自身がアメリカで実際に自分に問い続け、追い求めてきた人生観なのだと感じます。

 

型にはまろうと過剰適応する若者に「本当にそうなりたいのか」をストレートに問い続ける指導者

昨年仲宗根梨乃さんにインタビューした、ARATAさんの動画がとても印象的でした。

練習生の子たちの悩み相談に仲宗根梨乃さんがお答えする動画なんですが、最近の練習生の子たちは「踊れて当たり前」「歌えて当たり前」の中で、どう自分の個性やあと一歩を踏み出せるのか、この生活に終わりはあるのか、そういった苦しみに対して非常に仲宗根梨乃らしいエンパワメントをしてくれる動画でした。

www.youtube.com

私がこの動画で好きな言葉を要約&引用してみました。

「疲れてるっていうことは今愛を欲してるんですよ。自分が自分の味方をしてほしい」
「19歳がOldだと言われても、次行けばいい。自分にとって愛を感じられるところに行こう、そういうチャンスが必ず来るから、アルバイトしてまで頑張ってる自分に誇りを持って。自分のタイミングが絶対来るから」

この動画を見ると、今練習生をしている若者の悩みがどういうところにあるか、それに対して仲宗根梨乃さんがどういう考えで自分はやってきたか、という価値観がとても分かりやすく面白いのでおススメです。

 

PRODUCE101での仲宗根梨乃の感性の鋭さと練習生から逃げない姿勢がみどころ

PRODUCE101で仲宗根梨乃のファンとしてスゴイな…と思ったのは、完璧に踊れてるダンスを見るだけで石井蘭ちゃんの抱えてる悩みに気付く、「何か抱えてるんじゃない?」と指摘する感性の鋭さ。

素人の私は当然だけどあのパフォーマンスを見ても何もわからなかった。
石井蘭ちゃんは幼少期からEXPG等でダンス経験を積んでおり、Girls2として芸能活動の経験もある、練習生としてはかなり経験豊富で、レベルの高い次元で殻を破りたいと思っている子だと思います。好きなダンススタイルがポッピンという所もアイドル志望としてはなかなかシブいスタイルだなと感じる実力派の子だと思います。

そういう子に対して、「グループの良いところは自分が自信がなくても他のアベンジャーズの力を借りれること。そのいい仲間の中で何も心配するな。最高に蘭は輝ける」と、個人で戦ってきた彼女にチームワークの良さでエンパワメントする、という流れが指導者としてスゴイなあ…と感じました。

仲宗根梨乃さん自身もBeatFreaksのメンバーとして、何度もエンパワメントされてきたのかなという歴史も感じてファンとしてエモみがあります。

また、「周りの子にあまりいないタイプな気がして、チームワークを乱してしまうんじゃないか」と悩みを吐露する櫻井美羽ちゃんに、「まだ美羽ちゃんは怖がってるんだよね。違うことする自分の挑戦に対して。もう怖がってる暇なんてないよ。韓国でできなくて悔しかったでしょ。違うところに行く自分に勇気持て。日本に逃げてここでデビューしようとするなよ」という、ものすごくストレートな言葉を投げるのもすごいシーンでした。

櫻井美羽ちゃんは虹プロ、ガルプラでサバイバル番組で頑張ってきた姿も見てきましたし、HYBEでNewJeansの候補生として最終的にはデビューできなかったという経歴も考えて、個人的には応援したい気持ちがとてもあります。

その櫻井美羽に対して、「悔しかったでしょ」「日本に逃げてデビューしようとすんなよ」と踏み込めるメンタルがすごかった。その後、号泣する櫻井美羽を撫でながら「これが俺のリアル。痛くてごめんね。」と言いながら頭を撫でて謝罪する、コミュニケーション力もすごかった。

仲宗根梨乃さんがそれだけ練習生に本気で向き合っていて、大人として当たり障りのない言葉だけ伝えるのではなく、本当にデビューするためには自分の問題と芯食って向き合ってほしいという包み隠さない直球を投げてくる姿勢がすさまじいです。

そういった指導者としての姿勢、感性の鋭さ、練習生との本気の向き合い方がみどころだなと思い、毎週PRODUCE101をとても楽しみにしています。

 

この記事を書くのに、仲宗根梨乃ファンとしての昔の自分の情熱を思い出し、暴走をおさえきれず、1か月くらい書いては消してを繰り返してようやくなんとかまとめることができました。

結局PRODUCE101の放送間近まで推敲することになってしまいましたが、書き上げられてよかったです。古のファンの重めの記事で大変失礼しました。

 

仲宗根梨乃さんの各引用してある発言は、彼女のしゃべり言葉をそのまま書くと伝わりづらい部分が多くあったため、一部要約している部分があります。ご了承いただけますと幸いです。